この記事で分かること
- 乗り換えで損をする最大の原因は月額差ではなく「解約時の残債」であること
- 光コラボ・独自回線・ホームルーターの違いと、どこで選び分けるか
- キャッシュバックの受け取り忘れを防ぐ具体的な手順
月額500円の差より、解約金2万円のほうが大きい
光回線の比較記事はたいてい月額料金の表から始まる。戸建て5,720円、マンション4,180円。ここが数百円違うから乗り換えましょう、という流れだ。
だが実際に損得を決めているのは、月額ではなく解約するときに出ていく金額であることが多い。内訳は主に2つある。
① 解約違約金。 2022年7月の電気通信事業法の改正で上限が引き下げられ、以降に契約したプランなら月額料金1か月分が上限になっている。ただし、それ以前から使い続けているプランは旧条件のままのことがあり、1万円を超える設定が残っている。
② 工事費の残債。 これが見落とされやすい。開通工事費を「実質無料」としているサービスは多いが、その正体は分割払いと同額の割引を毎月当てているだけだ。24回や36回の分割の途中で解約すると、割引が止まって残りが一括請求される。工事費が22,000円で12回目に解約すれば、11,000円が残債になる。
つまり乗り換えの判断は、月額差×残りの利用月数と、解約時の一時金を天秤にかける計算になる。ここを見ずに「安いから」で動くと、半年分の節約が初月で吹き飛ぶ。
まず自分の契約の残債を調べる
やることは2つだけだ。
- 契約中のサービスのマイページにログインし、「解約時にかかる費用」または「工事費の残額」を確認する
- 契約の更新月を確認する(更新月なら違約金がかからないプランもまだ残っている)
電話でないと教えてくれない会社もあるが、その場合も「いま解約したら合計いくらかかりますか」と聞けば答えが返ってくる。この金額が乗り換えの損益分岐点になる。
光回線は3種類ある。まずここを分ける
比較サイトには何十ものサービスが並ぶが、構造としては3つに分かれる。
| 種類 | 中身 | 代表例 | 速度の傾向 |
|---|---|---|---|
| 光コラボ | NTTのフレッツ光回線を各社が借りて再販 | ドコモ光、ソフトバンク光、ビッグローブ光 など | 設備が共通なので大差なし。混雑時間帯はプロバイダ次第 |
| 独自回線 | 自社設備で提供 | NURO光、auひかり、電力系(コミュファ等) | 速い傾向。ただし提供エリアが限られる |
| ホームルーター/モバイル | 工事不要。電波で受ける | ホームルーター各種 | 工事なしで即日。速度と安定性は光に劣る |
光コラボ同士の乗り換えは「事業者変更」といって、工事なしで切り替えられる。 事業者変更承諾番号を今の会社から取得して、新しい会社に伝えるだけだ。回線設備は同じものを使い続けるので、開通の空白期間もほぼ発生しない。
一方、光コラボから独自回線(またはその逆)は新規契約と解約になる。工事が必要で、期間も費用もかかる。同じ「乗り換え」でも中身が全然違う。
スマホとのセット割は、家族の人数で効き方が変わる
光回線の割引でいちばん大きいのは、スマホとのセット割だ。対象のスマホ1回線あたり月々1,100円程度が引かれ、家族の回線もまとめて対象になる。
4人家族全員が同じキャリアなら、月4,400円。これは光回線の月額を実質ゼロに近づける規模になる。
ただし前提がある。格安SIMに乗り換えるとセット割は消える。 ドコモ・au・ソフトバンクのメインブランドを使っているからこそ効く割引なので、通信費全体で考えないと片方を下げてもう片方が上がる。
自分の場合どちらが得かは、次の順で計算するとわかりやすい。
- いまのスマホ代(家族全員分)+光回線代の合計を出す
- 格安SIMに全員移した場合の合計を出す(セット割はゼロで計算)
- 差額を比べる
家族4人で大手キャリアを使っているならセット割が残るケースもあるが、1〜2人世帯なら格安SIM+セット割なしの組み合わせのほうが安くなることが多い。スマホ側の手順は格安SIMの乗り換え手順を6ステップでにまとめてある。
キャッシュバックは「もらえる前提」で計算しない
光回線の販売では、数万円のキャッシュバックが当たり前のように提示される。これ自体は本物だが、受け取れずに終わる人が一定数いる。理由はだいたい共通している。
- 開通から10か月後・11か月後など、忘れたころに手続き期間が来る
- 案内が契約時に作られた専用メールアドレス宛に届き、そもそも見ていない
- 申請期間が1か月しかない
- オプション加入が条件で、外すと無効になる
対策は単純で、契約したその日に次の3つをやっておく。
- 手続き月をカレンダーに登録する。その月の1日にリマインダーを置く
- 案内が届くメールアドレスを確認し、普段使っているアドレスに転送設定をする
- 条件になっているオプションと、外していい時期を契約書面から抜き出してメモしておく
キャッシュバック額の大きさより、受け取り条件の緩さで選ぶほうが、結果的に手取りは多くなる。
工事が難しい・すぐ使いたいならホームルーター
賃貸で工事の許可が下りない、引っ越しが多い、開通まで待てない。こうした場合はホームルーターが選択肢になる。コンセントに挿すだけで使えて、契約から数日で届く。
ただし性質は光回線と違う。電波で受けるため、建物の向きや階数で速度が変わる。夜間に速度が落ちることもある。オンライン会議や大容量のダウンロードが日常的にあるなら、光を引けるかどうかを先に確認したほうがいい。
多くの提供事業者が「お試し期間」や初期契約解除を用意しているので、まず自宅で実測してから本決めするのが安全だ。
光回線の見直しでよくある質問
Q. 乗り換えでネットが使えない期間はどれくらいですか?
A. 光コラボ同士の事業者変更なら、切り替え当日に数十分〜数時間で終わり、実質的な空白はほぼありません。独自回線への新規乗り換えは工事日まで旧回線を残せるので、こちらも空白なしにできます。工事の予約は混雑期(3〜4月)だと1か月以上待つことがあります。
Q. プロバイダだけ変えることはできますか?
A. フレッツ光を単体で契約している場合は可能です。ただし光コラボ(ドコモ光やソフトバンク光など)は回線とプロバイダがセットになっているため、プロバイダだけの変更はできない、あるいは選べる範囲が限られます。
Q. マンションで速度が出ません。プランを変えれば速くなりますか?
A. 建物内の配線方式によります。各戸まで光ファイバーが来ている「光配線方式」なら改善の余地がありますが、途中から電話線を使う「VDSL方式」だと上限が100Mbps程度に固定され、どのサービスに変えても頭打ちです。管理会社に配線方式を確認してから判断してください。
Q. 契約者と支払い名義が違っても乗り換えられますか?
A. 事業者変更承諾番号の取得には契約者本人の情報が必要です。家族名義で契約している場合は、先に名義変更をするか、契約者本人に手続きしてもらう必要があります。名義変更は無料でできることがほとんどです。
Q. 引っ越し先でも同じ回線を使えますか?
A. 提供エリア内であれば移転手続きで継続できます。移転工事費がかかりますが、解約して新規契約するより安く済むことが多いです。ただし移転を機に新規キャンペーンを受けられなくなるため、乗り換えたほうが得になるケースもあります。両方を見積もって比べてください。
Q. 契約者が死亡した場合の手続きはどうなりますか?
A. 承継または解約の手続きが必要です。承継なら同居のご家族が契約を引き継げます。必要書類は各社で異なりますが、戸籍謄本など続柄を証明するものを求められるのが一般的です。放置すると請求だけが続くため、早めに連絡してください。

