この記事で分かること
- 「一括1円」が消えた理由と、いまの割引上限がいくらか
- 残価設定型プログラムの損得を、返却する前提かどうかで分けて考える方法
- 型落ち・認定中古・SIMフリーという3つの安く買う経路
「実質1円」が消えた背景
数年前まで、条件を満たせば端末が一括1円で手に入った。いまはそれがほぼ見られない。理由は市場の変化ではなく、法規制だ。
2023年12月に施行された改正電気通信事業法で、回線契約とセットで端末を値引きする際の上限が、原則4万円(税込4.4万円)に定められた。それまで規制の外にあった「回線契約なしで端末だけを安く売る」形の割引も、規制の対象に含められた。
結果として、10万円を超えるハイエンド端末を1円で持ち帰る、という買い方は成立しなくなった。本体価格そのものも円安と部材コストで上がっており、端末代は通信費とは別の固定支出として扱う必要がある段階に来ている。
端末代の負担を決めるのは「持ち方」
同じ端末でも、支払い方の選び方で総額が変わる。選択肢は3つある。
| 買い方 | 支払い総額 | 端末の扱い |
|---|---|---|
| 一括購入 | 定価から割引分を引いた額 | 自分のもの。売却も自由 |
| 分割購入(24回・36回) | 一括と同額(金利なし) | 自分のもの。払い終われば完了 |
| 残価設定型プログラム | 返却すれば約半額 | 返却が前提。返さなければ残価を払う |
このうち判断を誤りやすいのが3つ目だ。
残価設定型プログラムの損得
「48回払いのうち24回を払った時点で端末を返せば、残りの支払いが免除される」という形式のプログラムが各社にある。実質半額で最新機種が持てる、という打ち出しになっている。
返却する前提なら合理的だ。 2年ごとに機種を変えたい人、端末を資産と思っていない人には合う。
一方で、次の場合は割高になる。
- 返却せずに使い続けた。 残価(残りの支払い)がそのまま請求される。総額は定価と変わらない
- 端末に傷や故障があった。 査定に通らず、追加の負担金(数千円〜2万円程度)が発生することがある
- 同じ端末を4年使うつもりだった。 一括で買っていれば3年目以降の支払いはゼロだが、プログラムでは払い続けることになる
判断の基準は単純で、「2年後に必ず返す」と言い切れるかどうかだ。言い切れないなら一括か分割のほうが読みやすい。
安く買う3つの経路
① 型落ちを狙う
新機種が出ると、前世代のモデルは公式ストアに残ったまま価格が下がる。性能差はここ数年で縮まっており、カメラと処理速度にこだわらないなら、1世代前で十分足りることがほとんどだ。
iPhoneならApple公式でも旧モデルが併売されているし、Androidは各メーカーの直販サイトでセールが定期的にある。新機種の発表直後は、旧機種の値下がり幅が大きい。
② 認定中古品(リファービッシュ)を使う
中古端末には抵抗がある人が多いが、いまは各キャリアやメーカーが動作確認とクリーニングを済ませた「認定中古品」を販売している。保証が付き、バッテリー残量の基準も明示されているものが多い。
選ぶときに見るのは次の3点だ。
- バッテリーの最大容量(80%以上が目安。それ以下だと1年以内に交換が必要になる)
- ネットワーク利用制限(前の所有者の分割払いが残っていると使えなくなることがある。「○」判定を確認)
- 保証期間(最低でも3か月、できれば6か月以上)
フリマアプリの個人売買はこの3点が担保されないため、価格差ほど得にならないことがある。
③ SIMフリー端末を単体で買う
家電量販店やメーカー直販でSIMフリー端末を買い、格安SIMを挿す形だ。回線契約に縛られないので、あとから通信会社を自由に変えられる。
家電量販店ならポイント還元が乗るので、実質価格はさらに下がる。10万円の端末で10%還元なら1万円分だ。ポイントの使い道があるなら、これは現金値引きとほぼ同じ意味を持つ。
通信費とセットで考える
端末代だけを見ても最適解は出ない。大手キャリアは端末割引が手厚いかわりに月額が高く、格安SIMは月額が安いかわりに端末割引がないという構造だからだ。
比較するときは、2年または3年の総額でそろえる。
総額 = (月額 × 使う月数)+ 端末の支払総額 - 受け取れる還元
たとえば大手で月8,000円・端末割引4万円と、格安SIMで月2,000円・端末割引なしを24か月で比べると、前者は192,000円+端末代-40,000円、後者は48,000円+端末代。端末代が同じなら、差は104,000円になる。端末割引4万円は、月額差で簡単に飲み込まれる。
このため、端末を安く買うことより先に月額を下げるほうが効く場面が多い。手順は格安SIMの乗り換え手順を6ステップでにまとめてある。
買い替えのタイミング
まだ使えるのに買い替えるのは無駄だが、粘りすぎるのも損になる。判断の目安は次の3つだ。
| サイン | 意味 |
|---|---|
| バッテリーの最大容量が80%を切った | 交換(1万円前後)か買い替えの分岐点 |
| OSのアップデート対象から外れた | セキュリティ更新が止まる。金融アプリが使えなくなることも |
| 動作が重く、アプリが落ちる | ストレージ不足の可能性。まず不要データの整理を試す |
このうちOSのサポート終了は無視しないほうがいい。銀行やキャッシュレス決済のアプリは、古いOSを順次切り捨てる。使えなくなってから慌てると、選ぶ余裕がないまま買うことになる。
下取りを「値引き」と混同しない
買い替えのとき、店頭で下取り額が提示される。ここで注意したいのは、下取りは値引きではなく、手持ちの端末を売った代金だという点だ。
同じ端末でも、キャリアの下取りと中古買取店では価格が違う。一般に買取専門店のほうが高く、機種によっては1万円以上の差がつく。手続きの手間を取るか、金額を取るかの判断になる。
判断の前に確認しておくことが2つある。下取りに出すと端末は手元に残らないので、データ移行を済ませてから出すこと。それと、下取り額が「回線契約とセットの場合のみ」の条件付きになっていないかを見ること。条件付きの提示額を単体購入の場合と比べると、判断を誤る。
古い端末を家に何台も置いている人は、まとめて査定に出すと数万円になることがある。使わない端末は劣化するだけなので、早めに現金化したほうが合理的だ。
スマホ本体代でよくある質問
Q. 分割払いに金利はかかりますか?
A. キャリアの端末分割は原則として金利手数料なしです。ただし分割払いは信用情報に記録される「割賦契約」なので、審査があり、支払いが遅れると他のローンに影響します。
Q. 残価設定型プログラムで返却するとき、傷があるとどうなりますか?
A. 画面割れや水濡れなど「故障」と判定されると、追加の負担金が請求されます。金額は各社で異なりますが数千円〜2万円程度が一般的です。ケースとフィルムを最初から付けておくのが、結果的に一番安い対策になります。
Q. 認定中古品とフリマアプリの中古は何が違いますか?
A. 認定中古品は事業者が動作確認・初期化・清掃を行い、保証を付けて販売します。ネットワーク利用制限の状態も明示されます。フリマアプリは価格が安い反面、これらが保証されず、届いてから使えないと判明しても対応が難しいです。
Q. 端末だけを買ってもキャリアのポイントは付きますか?
A. 各社のオンラインストアで端末のみを購入する場合も、そのキャリアのポイントが付くことがあります。ただし回線契約とセットのときより還元率が低いのが一般的です。家電量販店のポイント還元と比較してみてください。
Q. 海外で買った端末を日本で使えますか?
A. 技適マークがない端末を日本国内で使用すると電波法に触れる可能性があります。また対応バンドが違うと電波をつかみにくく、実用に耐えないことがあります。価格差だけで判断しないでください。
Q. 端末の保険やサポートには入るべきですか?
A. 月額500〜1,000円程度が相場です。2年で1万〜2.4万円になるため、その額と画面修理費用(2万〜5万円程度)を比べます。落としやすい人や、修理費が高いハイエンド機なら見合いますが、ケースを付けて丁寧に扱う人は不要なことも多いです。

