この記事で分かること
- 車の維持費を構成する5項目と、それぞれの年額の目安
- 手をつけて効果が大きい順序(任意保険 → 駐車場 → 車検 → 燃料 → 税金)
- 「乗らないのに持っている」状態のコストを数字で見る方法
維持費は5つに分けると判断しやすくなる
車の費用は、買うときの金額に意識が向きやすい。だが家計を圧迫するのは、買ったあとに毎年出ていくほうだ。
内訳は次の5つに整理できる。ここでは普通車(1500cc前後・自家用)を想定した年額の目安を置く。
| 項目 | 年額の目安 | 性質 |
|---|---|---|
| 任意保険 | 40,000〜100,000円 | 条件次第で大きく動く |
| 駐車場代 | 0〜240,000円 | 地域差が最大 |
| 車検・整備 | 50,000〜100,000円 | 2年ごとを1年あたりに割った額 |
| 燃料代 | 60,000〜120,000円 | 走行距離に比例 |
| 自動車税 | 25,000〜45,000円 | 排気量で決まる。動かせない |
合計するとおおよそ年20万〜50万円、月に均せば2万〜4万円になる。削る順序は、動かせる幅が大きいものからだ。上の表でいえば上から順になる。
① 任意保険。同じ補償で数万円動く
維持費のなかで、最も手を入れやすいのが任意保険だ。補償内容を変えなくても、次の3点だけで保険料は変わる。
運転者の範囲と年齢条件。 「家族限定」「本人・配偶者限定」に絞れているか。同居していない子どもを対象に含めたままにしている契約は珍しくない。年齢条件も、21歳・26歳・30歳・35歳と区切りがあり、家族の誰かが区切りを超えたときに見直していないと払いすぎになる。
車両保険の要否。 保険料の内訳で最も重いのがここだ。車両価値が下がった古い車に、新車時と同じ車両保険を付け続けているケースがある。修理費より保険料の総額が上回るなら外す判断もある。外さないまでも、免責金額(自己負担額)を上げれば保険料は下がる。
代理店型かダイレクト型か。 同じ等級・同じ補償でも、ダイレクト型のほうが年1万〜3万円安くなることが多い。事故対応の質を心配する声はあるが、いまはどちらもロードサービスと事故受付を24時間で用意している。
等級は引き継げる。 保険会社を変えても、これまで積み上げた等級はそのまま移る。ここを知らずに乗り換えをためらう人が多い。保険全般の考え方は保険の見直しは「増やす」より「減らす」にまとめてある。
② 駐車場代。地域差が最大の項目
月極駐車場は、都市部だと月2万円を超え、地方なら5,000円以下、持ち家なら0円になる。この項目だけで年間20万円以上の差がつく。
削る方法は限られるが、次の2つは検討できる。
- 同じエリアで探し直す。 契約したときから相場が下がっていることがある。徒歩3分の差で月3,000円違うことも普通にある
- 月極マッチングサービスを使う。 個人や事業者の空き区画を仲介するサービスがあり、従来の不動産会社経由より安いことがある
自宅に停められる人はこの項目がゼロなので、次に進んでいい。
③ 車検。「安い店」より「不要な整備を断る」
車検の費用は、法定費用と整備費用に分かれる。
法定費用(自賠責保険料・自動車重量税・印紙代)はどこで受けても同額で、ここは値切れない。差がつくのは整備費用と手数料のほうだ。
ディーラー、車検専門店、ガソリンスタンド、ユーザー車検と選択肢があり、下に行くほど安い。ただし安さだけで選ぶと、必要な整備まで省かれることがある。
現実的な削り方は、見積もりの明細を出してもらい、「今回やらなくていい項目」を確認することだ。「そろそろ交換時期」と提案される項目のうち、車検に通すために必須なものとそうでないものは分かれている。どれが必須かを聞けば、正直に答える店が普通だ。
なお、車検の見積もりを2〜3社から取るだけで1万〜3万円変わることがある。手間に対する効果は大きい。
④ 燃料代。給油の仕方より走り方
ガソリン代は走行距離と燃費で決まるので、削れる幅は限られる。それでも効くのは次の順だ。
| やること | 効果の目安 |
|---|---|
| タイヤの空気圧を月1回点検する | 燃費2〜5%改善 |
| 不要な荷物を降ろす(常時50kg積載など) | 燃費1〜3%改善 |
| 急加速・急ブレーキを減らす | 燃費5〜10%改善 |
| 給油はカード還元率の高いものに固定 | 実質1〜2%引き |
空気圧は軽視されがちだが、自然に抜けるものなので放置すると燃費に効く。セルフのスタンドにも無料の空気入れが置いてある。
給油に使うカードは、還元率だけでなく年会費と利用条件を見る。年会費1,375円のカードで月100リットル給油して2円/L引きなら年間2,400円引き、差し引き約1,000円のプラス。給油量が少ないと逆ざやになる。カードの整理の考え方はクレジットカードは何枚が正解?を参照してほしい。
⑤ 自動車税。ここは動かせない
自動車税(種別割)は排気量で決まり、交渉の余地がない。2019年10月1日以降に初回新規登録した自家用乗用車の場合、おおよそ次のとおりだ。
| 排気量 | 年額の目安 |
|---|---|
| 軽自動車 | 10,800円 |
| 1,000cc以下 | 25,000円 |
| 1,000cc超〜1,500cc以下 | 30,500円 |
| 1,500cc超〜2,000cc以下 | 36,000円 |
| 2,000cc超〜2,500cc以下 | 43,500円 |
2019年9月以前に登録した車はこれより高い税額が適用される。また、初回新規登録から13年を超えたガソリン車は税額が約15%重くなる(重課)。古い車を「まだ乗れるから」と持ち続けるとき、この重課と燃費の悪化を計算に入れておく必要がある。
「持たない」を計算に入れる
年間の維持費が30万円で、月に2回しか乗っていないとする。1回あたり12,500円だ。この使い方なら、カーシェアやレンタカーに切り替えたほうが安い可能性が高い。
判断は感覚ではなく数字でやる。
- 直近1年の走行距離を確認する(車検証か整備記録に前回の数値がある)
- 年間の維持費合計を出す
- 同じ距離をカーシェア・レンタカーで賄った場合の費用を概算する
年間3,000km未満なら、置き換えを検討する水準に入る。逆に通勤や送迎で毎日使うなら、所有のほうが安い。必要なのは「持つべきか」の結論ではなく、いくら払っているかを知ることだ。
車の維持費でよくある質問
Q. 保険会社を変えると等級が下がりませんか?
A. 下がりません。等級は保険会社間で共有される情報なので、そのまま引き継がれます。ただし満期日をまたいで空白期間を作ると引き継げなくなることがあるため、切り替えは満期日に合わせて手続きしてください。
Q. 車両保険は外しても大丈夫ですか?
A. 車の時価額と、事故時に自費で直せるかで判断します。時価が30万円程度まで下がっていて、その額を貯蓄から出せるなら外す選択はあります。一方、ローンが残っている車は全損時に残債だけが残るため、外さないほうが安全です。
Q. ユーザー車検は素人でもできますか?
A. 手続き自体は可能で、費用は法定費用のみに抑えられます。ただし事前の点検整備は自己責任になり、不合格なら再検査で手間が増えます。整備の知識がないなら、費用差より安全を優先したほうがいいです。
Q. 13年超の重課はいくら増えますか?
A. 自動車税でおおむね15%程度、自動車重量税でも同様に重い税率が適用されます。年間で数千円〜1万円台の増加になります。買い替えの判断材料の一つにはなりますが、これだけで乗り換えるほどの額ではありません。
Q. 走行距離が短いと保険料は安くなりますか?
A. 多くの保険会社が走行距離に応じた区分を設けており、年間3,000km以下などの短距離区分は保険料が下がります。前年の申告距離と実績が大きく違うと、事故時に確認されることがあるため、実態に合わせて申告してください。
Q. 車検と法定点検は違うものですか?
A. 違います。車検は保安基準に適合しているかの検査で、法定12か月点検は整備のための点検です。12か月点検は義務ですが、受けていなくても車検は通ります。ただし故障の早期発見という意味では受けたほうが結果的に安く済みます。

